TOP ≫ ARCHIVE ≫ 2015年10月
ARCHIVE ≫ 2015年10月
      

≪ 前月 |  2015年10月  | 翌月 ≫

 鼓腹撃壌 現代語訳・書き下し文

鼓腹撃壌 (十八史略)

[ 原文 ]

帝尭陶唐氏帝嚳子也。

其仁如天、其知如神。

就之如日、望之如雲。

都平陽。茆茨不剪、土階三等。

治天下五十年。

不知天下治歟、不治歟、

億兆願戴己歟、不願戴歟。

問左右不知。問外朝不知。問在野不知。

乃微服遊於康衢、聞童謡。

曰、「立我烝民 莫匪爾極。

不識不知、順帝之則。」

有老人、含哺鼓腹、撃壌而歌曰、

「日出而作、日入而息。

鑿井而飲、耕田而食。

帝力何有於我哉。」

尭立七十年、有九年之水。

使鯀治之。九載不績。尭老倦于勤。

四嶽挙舜、摂行天下事。

尭子丹朱不肖。乃薦舜於天。

尭崩、舜即位。


[ 書き下し文 ]

帝尭陶唐氏は帝嚳の子なり。
ていげうたうたうしていこくなり

其の仁は天の如く、其の知は神の如し。
じんてんごと、そしんごと

之に就けば日の如く、之を望めば雲の如し。
これけばごと、これのぞめばくもごと

平陽に都す。茆茨剪らず、土階三等のみ。
へいやうみやこ。ばうしきらず、どかいさんとうのみ

天下を治むること五十年。天下治まるか、治まらざるか、
てんかをさむることごじふねん。てんかをさまるか、をさまらざるか

億兆己を戴くを願ふか、戴くを願はざるかを知らず。
おくてうおのれいただくをねがふか、いただくをねがはざるかをらず

左右に問ふに知らず。外朝に問ふに知らず。在野に問ふに知らず。
さいうふにらず。ぐわいてうふにらず。ざいやふにらず

乃ち微服して康衢に遊び、童謡を聞く。
すなはびふくしてかうくあそ、どうえう

曰はく、「我が烝民を立つるは、爾の極に匪ざる莫し。
はく、「わじようみんつるは、なんぢきよくあらざる

識らず知らず、帝の則に順ふ」と。
らずらず、ていのりしたが

老人有り。哺を含み腹を鼓し、壌を撃ちて歌ひて曰はく、
らうじんあ。ほふくはら、じやうちてうたひてはく

「日出でて作し、日入りて息ふ。
「ひいでて、ひいりていこ

井を鑿ちて飲み、田を耕して食らふ。帝力何ぞ我に有らんや」と。
せいうがちて、でんたがやしてらふ。ていりよくなんわれらんや

尭立ちて七十年、九年の水有り。
げうたちてしちじふねん、きうねんみずあ

鯀をして之を治めしむ。九載績あらず。
こんをしてこれをさめしむ。きうさいせきあらず

尭老いて勤めに倦む。四嶽舜を挙げ、天下の事を摂行せしむ。
げうおいてつとめに。しがくしゆん、てんかことせつこうせしむ

尭の子丹朱不肖なり。乃ち舜を天に薦む。尭崩じ、舜位に即く。
げうこたんしゆふせうなり。すなはしゆんてんすす。げうほう、しゆんくらゐ


[ 現代語訳 ]

帝尭陶唐氏は帝嚳の子である。

その仁徳は天のようであり、その知力は神のようであった。

近づくと太陽のようであり、遠くから眺めると雲のようであった。

平陽を都とした。

かやぶきの屋根の端は切りそろえず、

土で作った階段は三段だけだった。

天下を治めて五十年になった。

天下がよく治まっているのか、治まっていないのか、

人民が自分に天子として敬い仕えることを願っているのか、

願っていないのかが分からなかった。

側に仕える家臣に尋ねても分からない。

朝廷の役人に尋ねても分からない。

民間の者に尋ねても分からない。

そこで身なりを変えて街中に出かけていき、童謡を耳にした。

(童謡に)言う、「われわれ民衆が生活できるのは、

すべてあなたの最高の徳のおかげです。

知らず知らず、天子のお手本に従っている」と。

老人がいた。口中に食物をほおばり、腹つづみを打ち、

足で地面を踏み鳴らして歌って言った、

「日が出れば働き、日が沈めば休む。

井戸を掘って水を飲み、田畑を耕して食べる。

天子の力がどうして私に関わりがあろうか、何も関わりない」と。

尭が帝位について七十年経ったころ、九年間洪水が続いた。

鯀にこれを治めさせようとした。

九年経っても実績があがらなかった。

尭は年老いて任務に飽きた。

四岳は舜を推挙して、政務を代行させた。

尭の子丹朱は親に似ず愚かであった。

そこで舜を天に推薦した。

尭が死んで、舜が即位した。


スワップ金利を利用