TOP開成高等学校 ≫ 開成高校、入試問題、国語

 開成高校、入試問題、国語

 中村新斎「思斉漫録」

 片桐石州君は、茶の湯の式に名だかく、つひに一流の祖とならせられ、茶器万の鑑定にたが

ふ事なしとなり。江戸へ下りたまひし時、旅館にて尿器を見たまふに、よしあるものなりしか

ば、主人に命じて、洗ひ浄めさせて見たまふに、甚だ古く、よろしき唐物なりければ、「金数

片にかへて、買ひ取らん。」といはしめたまふに、主驚き、さやうのものとは、昔よりさらに

知らず、かかる不浄のものとなしおきさうらふ。くるしからずば、差し上げ申すべし。価下さ

れさうらふ事は、辞し奉るよし申せしかど、金あまたたまはり、その器をめされ、即命じて、

みぢんに打ちくだかしめたまふ。従者はさらなり。主ふたたび大いに驚きあきれしに、侯笑ひ

て、「この壷、甚だ古くして、よき唐物なれば、目のききたる者見つけなば、やがて買ひ取り、

水や鉢か、または、相応のものに売り渡すべし。かかる不浄のものとは知らずして、高価に求

むる者あるべし。甚だ穢しき事なれば、かくせしなり。」とのたまへりと、ある人語られたり。

 按ずるに、およそ茶人は古き器を好み、貴き価もて買ひ取り、いかなる事に用ゐたるものな

るを知らず、珍蔵愛玩して、人に誇る者多し。いやしき心ならずや。侯の見識と、天地のたが

ひありといふべし。

(注)・唐物 … 中国渡来の品

   ・くるしからずば … さしつかえなければ

   ・従者はさらなり … 従者は言うまでもなく

   ・侯 … 片桐石州君

   ・いやしき心ならずや … なんとあさましい心のありようではないか

問一 「さやうのものとは」から始まる会話の内容はどこまでか。最も適切なものを次から選び、

 その記号を書きなさい。

 ア、さらに知らず   イ、なしおきさうらふ   ウ、差し上げ申すべし

 エ、辞し奉る     オ、打ちくだかしめたまふ

問二 「主ふたたび大いに驚きあきれしに」とありますが、主人が「ふたたび」大いに驚きあきれ

 たのはなぜか。三十字以上四十字以内で説明しなさい。

問三 「かくせしなり」とありますが、なぜそのようにしたのですか。簡潔に説明しなさい。
 
問四 「侯の見識と、天地のたがひありといふべし」とは、どういうことですか。わかりやすく説

 明しなさい。


 
関連記事
Trackback

Trackback URL

スワップ金利を利用