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宇治拾遺物語「雀報恩の事」 現代語訳・原文

[ 原文 ]

二十日ばかりありて、この女の居たる方に、雀のいたく鳴く声しければ、

「雀こそいたく鳴くなれ。ありし雀の来るにやあらん」と思ひて出でて見れば、この雀なり。

「忘れず来たるこそあはれなれ」といふほどに、女の顔をうち見て、

口より露ばかりの物を落とし置くやうにして、飛びて去ぬ。

女、「何にかあらん。雀の落として去ぬる物は」とて、寄りて見れば、

ひさごの種をただ一つ落として置きたり。

「持て来たるやうこそあらめ」とて、取りて持ちたり。

「あないみじ、雀の物得て、宝にしたまふ」とて、子ども笑へば、

「さはれ植ゑてみん」とて、植ゑたれば、秋になるままに、

いみじく多く生ひ広ごりて、なべてのひさごにも似ず、大きに多くなりたり。

女よろこび興じて、里どなりの人にも食はせ、取れども取れども尽きもせず多かり。


[ 現代語訳 ]

二十日ほど経って、この女のいる近くで、雀のひどく鳴く声がしたので、

「雀がひどく鳴いている。あの雀が来たのだろうか」と思って出てみると、その雀である。

「忘れないで来てくれて、ほんとにかわいい」と言っていると、女の顔を見て、

口から露くらいのものを落として置くようにして、飛び去っていった。

女は、「何だろうか。雀が落としていったものは」と思って、近寄って見ると、

ひょうたんの種をたった一つ落として置いていた。

「持って来たわけがあるんだろう」と思って、取って持っていた。

「まあ、あきれた、雀から物を貰って、宝物になさっている」と言って、子どもたちが笑うので、

「とにかく植えてみよう」と思って、植えたところ、秋になると、

とても多く生え広がり、普通のひょうたんと異なって、たいへん多く実が生った。

女は喜びおもしろがって、隣近所の人にも食べさせ、取っても取っても尽きないほど多かった。

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